地元のN大学付属病院へ。


医「胸にボリュームがあるから(それはありがとう)、ぎりぎり温存できるかもしれません。
でも、変形の可能性は大きいし、断端陽性*1だったら追加切除の可能性もあります。」


私「では、一番最初にすすめるとしたら、やはり摘出ですか?
温存は患者の希望が強くあったら、できないとこはないけれど、って感じでしょうか。」


医「そうですね。前医での意見は、妥当だと思います。
温存でも120度の角度で切り取ることになるので標準治療*2
からはそれてしまいますし。」


内視鏡(補助下)での手術はやっていない
同時再建は年間5例ぐらい
同時再建は筋皮弁しかやっていない


以上の3点を説明してもらう。
温存は確かにしたいけれど、賭けてまでしたい、というのは違うかなぁ。
自分の病状を考えると、もちろん全部とるのはいやだけれど
確かに一番妥当かも。


検査結果を聞いた時点で
何が何でも温存、という気持ちもないし
発展途上の最先端手術をする、という勇気もないし
一番妥当なものが、私の納得のいくものだろうな。と思い
やはり東京で「乳腺全摘+エキスパンダー挿入手術」をすることにしました。


その後の治療は、しばらくしたらこちらでやっていただけますか?と聞くと
(東京まで何年も通うのはたいへんだ)
快く「もちろんですよ。いらしてください。」と言っていただけました。

*1:乳房温存手術で切取った部分の断端(切り口)にがんが残っているかどうかを調べ、がん細胞が残っている場合を断端陽性といいます。手術中は術中迅速診断で調べますが、迅速病理検査は確実性には欠けるので、術後の病理検査が重要になります。断端陽性の場合、追加切除を行なうか温存手術を乳房切除術に変更することになります。

*2:ある一定の基準にのっとった治療のことです。医師個人の勘や経験に頼ったあやふやな医療ではなく、大規模な臨床試験によって効果が証明された、その時の最も成績の良い治療方法が標準治療です。誰もが、どこでも、同じように最良の医療が受けられることを目指した考え方です。欧米では標準治療を行う上での指針となるガイドラインが数多く公表されています。サンクト・ガレンでの会議が推奨する治療もその一つです。乳房温存療法に関しては、1999年に日本乳癌学会からガイドラインが発表されています。現在の医療では、科学的根拠に基いた医療(EBM)によって決められた標準治療を、インフォームド・コンセントを十分行った上で行うことが必要不可欠なものとなりつつあります。